自己紹介16 C.私がメソッドを誕生させるまで 1・「造形絵画教室」
自己紹介16
C.私がメソッドを誕生させるまで
1・「造形絵画教室」
はじめに
この動画では、25年間経営してきた造形絵画教室について説明しています。
【造形絵画教室】
*子どもの感性を育てる造形絵画教室
美大を出た私は、中学・高校・学芸員の免許も取得し、
中学校で美術の講師も経験しました。
感性を育てる科目であるのにも関わらず、
生徒のやる気や得意不得意は考慮されない同一の課題で、
成績をつけることに違和感を感じつつも、
自分が受けて来た教育と同じように、「静かにしなさい。」
「なぜ、持ち物を忘れてくるの?」「集中してやりなさい。」と、
支配的に指導をし、
遅刻してくる子や出来ない子には正座などの体罰を与えました。
でも、これは何かが違うと感じて家を建てるのを機に、
子ども達の感性を育てるアトリエを作ったのです。
最初のうちは中学でやっていたやり方で、
娘も生徒のことも、いたずらをした、
言うことを聞いていなかった、忘れ物をした、
やる気がないなどとガンガン怒っていたのですが、
それでは上手くいきません。
中学は登校すれば静かに授業を受けるのが当たり前ですが、
アトリエは教育でもサービス業の部分もあったので、
そんな指導では生徒達がついて来ません。
必死になって怒れば怒るほど、娘の心も生徒さんの心も、
願いとは裏腹に離れていくのがわかります。
子育てや教育とはそういうものだと思っている自分には、
なかなか気づくことが出来なかったのですが、
有り難いことにそんな私を見捨てずに、
娘はたくさんのアドバイスをくれましたし、
十年以上ずっと通い続けてくれた生徒さんが何人もいたのです。
幼稚園や保育園で入って、中学・高校までずっと。
そしてそんな子達は、自分の好きな事や興味のある事や目指している夢を教えてくれ、
人間関係や悩みについても本音で話をしてくれましたし、
地元を離れても休みになればアトリエの掃除のバイトをしたり、
人生の報告をしたりするために会いに来てくれましたから、
大人になっていく過程も見させてもらう事ができました。
一人一人の生徒が卒業してもずっと人間関係を保っていてくれるのは、
決して私が優れた指導者だったからではありません。
賢母であるその子たちのお母さんが
「アトリエの先生にご挨拶に行っておいで。」と送り出してくれていたからだった。
ということに気がついたのは、ずっと後になってからでした。
*賢母たちの特徴
私が賢母だと感じたお母さんたちには共通点がいくつもありました。
まずお子さんに対しては感情的に怒鳴らない。
注意力や集中力をつけるために小さな声で話しかけます。
威圧的にではなく、甘やかすことなく、冷静に丁寧に話しをし、
状況やものの成り立ちを理性的に説明するための時間を惜しみません。
どうすれば山の様にあるアトリエの荷物を効率よく持てるか、
短時間で片付けられるか、どんな絵の具の管理や上着のたたみ方をすれば、
いつも綺麗を保てるのか、一つ一つを子ども達が出来てもできなくても、
聞いても聞かなくても同じ調子で話します。
子ども達が忘れ物をしない様にと心を配り、
それでも子どもが忘れたら、子どもを怒るのではなく、
「すみません。」と謝って取りに帰ってくれるのです。
責任を学ばせようとするけれど、
何かあった時には子どものせいにはせず責任は親にある、
ということを徹底されている方達でした。
それは、子どもに山の様に習い事をさせて、
道具の管理もせず、忘れ物をしたと引き返す時には
「私は仕事で忙しくて時間がないのに何やってんのよ!」
と、鬼の様に怒る私とは真逆の対応で、
本当にいろいろなことが目から鱗だったのです。
他のお子さん達の成長を、
ご自身のお子さんのことの様によく見ていて褒めてくださる。
アトリエで廃材が足りないと、手間暇惜しまず綺麗に整えて寄付してくださる。
子どもをからかったりイライラさせたりしない。
過干渉にもならず、そうかといって放任にもしない。
子どもが興味を持ったものの世界が広がるように、
取材旅行に行き資料の写真を持たせ、
必要な材料を揃えたり手段を教えたり伴走したり。
挑戦して上手くいかなかった事を、
わざわざ指摘してプライドを折ったりしません。
仕事を任せて責任を持つ経験をさせる。
投資した時間や金銭の見返りを求めない。
短期的な結果を求めない。
足りないことをなじるのではなく出来た事を褒める。
明らかに分かるような問題行動であっても、
口に出して意識させたりせずに別の角度から解消していくように仕向ける。
ご自身の言動で夢の叶え方や勉強の仕方や優しさのお手本を見せる。
丁寧に身の回りや健康に気を配り手紙や記録などで愛を伝え続ける。
こうなって欲しいと我が子に期待するのではなく、
あるがままの我が子を大切にし、
ある程度まで世話や指導をすると後は信頼して、
親の心配が伝わらないように成長やなりゆきを静かに見守っていらっしゃいました。
又、方針がしょっちゅう変わる、
なんでもやりっぱなしにしては右往左往するアトリエの指導には一切口を出さず、
批判的なこともおっしゃらず、
大切なお子さんを長年任せてくださった上で、
イベントなどの時は精一杯の応援と協力を惜しみなくしてくださいました。
そんな親御さんたちは、
ご自身が勉強家で常に何かに挑戦している。
人生を楽しんでいる。仕事に打ち込んでいる。
人の噂話をしない、悪口を言わない、距離を縮めすぎないという特徴がありました。
その上で、私をフォローしてくれることに労を惜しまないのです。
私が片付けを苦手なことは見ていてわかります。
そうすると、授業の終わりに世間話をしながら、
そこここのゴミを確認してから片付けてくれたり、
遠慮がちに散らばっているものをまとめたりしてくださいます。
整理整頓が出来ないのにも関わらず、
自分のテリトリーに入って来られることを好きではないと知って下さっているので、
決して私のペースを乱すようなことはしません。
どんなマイナス要因にも否定的ではなく好意と愛を与える態度を崩されないのです。
思いつきで繰り出してくるイベントも、
日付が間違っていることがあるから確認をして、
曜日と違っていれば教えてくれたり、
言われたことも次の瞬間忘れてしまうことがあるので、
口頭で連絡をくださった上で当日ラインで再度連絡をくれたり、
金額が分からなくなるので名前を書いた封筒に明細を書いて入れてくれたり。
その気遣いの細やかさに手を合わせてばかりでした。
子育ての愛情深さは私に対しても一緒で、
「いい先生だと思ったのに実はこんなダメな奴だった。」とか
「先生のくせにこんなことを言った。」「こんなことをされた。」などの
先入観や批判が一切入らないのです。
私の言動の辻褄の合わない事や嫌なことは見て見ないふりをしてくださり、
生き様の判定はしないのですね。
どうしても伝えた方がいいと思うことは、
例え話や遠巻きに忠告として伝えてくださいます。
その時は気が付かず怪訝な顔をして聞くのですが、
後になって、ああ、なるほど!と思い当たることがあり、
おかげでこんな私でも萎縮することなく
自分の使命に打ち込むことができているのです。
それは賢母の皆達の心の広さや劣等感のなさ、
自己肯定感の高さは勿論のこと、
純粋に人を助けたいと思う心、
価値観が違う者同士の共存共生の巧みさ、
集約すれば愛なのだなぁと感じます。
お子さんが大きくなってアトリエに通わなくなっても、
折に触れ必ず連絡をくださり笑顔を見せてくれ、
有益な情報をもたらし感情の波がありません。
私のおバカな一言で小さな波風が立ったとしても決して縁を切らない。
常に明るく穏やかに冷静な対応をし、
足りないところばかりの私の欠点を補い、
良い所をたくさん褒めてくださって、
一緒にお子さんの人生を伴走する、
絶妙な感情のコントロール能力と
コミュニケーション能力を持っている方達でした。
つまり私とは真逆だったのです。
私の子育ては娘に対しては感情的に褒める・怒鳴る。
太陽のように笑いかけ、鬼のように追い詰める。
調子の良い時はノリノリで接するけれど不機嫌な時には無愛想に対応する。
甘やかす、過干渉で威圧的になる。
(私は自分がされていたように育児や教育をしただけなのですが、
手さえあげないものの、今思えば虐待以外の何物でもありませんでした。)
勝手にレールを敷いて目標や選択肢やゴールを用意する。
早く早くと急がせる。
子どもの余暇を大切にしようとせずに、
次から次へとイベントを入れてエネルギーを吸い取る。
家で培う基本的な生活(断捨離・整理・掃除・料理・健康・
笑顔・コミュニケーション・思考力・安定と安心・リラックス)
の技術を子どもに教えようとせずに、
外に出て遊び外で食事をする。
何か望まない結果が出た時に子どものせいにする。
気分によって言う事が変わる。
気に入らない事があると泣く・怒る・愚痴る。
他人を非難して攻撃する。
悲観的で、自分自身の夢など見られる可能性も考えず、
自己肯定感が薄く何をやっても中途半端。
経験値がないまま、なんの考えも覚悟もなく結婚や出産をし、
今になってみると夫にも子どもにも本当に申し訳ない事をした
(夫や娘に読んでもらったのですが、嘘はない。と言う回答でした。)。
「本当に申し訳ありません!」というような、周囲に迷惑を振りまく人生です。
けれど、こんな愚かな私でも、
アトリエの指導を十数年もさせていただいているうちに、
賢母の子育てを目の当たりにし、
さすがに悪いところや足りないところにたくさん気付き、
私のやるべき事は娘や生徒さんの足りないところを叱る事ではなく、
一人一人を褒めてそれぞれの持っている良さを引き出す事だとわかって来ました。
おそらくこんなに皆さんの人生の近くに置いて頂いて、
いろんな親子さんの成長の過程を見させて頂けることは稀なこと。
それこそが私独自に与えられた何らかの使命で、
才能なのだろうと気が付いたのです。
自己紹介17に続きます。
最後までご視聴頂きありがとうございました!
イラストair
ナレーション小鳥遊樹でお送りしました。
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